疣贅の主なものには、尋常性疣贅(いわゆるイボ)、扁平疣贅、老人性疣贅(脂漏性角化症)があります。
治療法には液体窒素や電気メスを使うことがあり、それについて説明します。

(1) 液体窒素療法

液体窒素はマイナス196℃からマイナス210℃です。この液体窒素を病変部にあてて、病変と周囲の皮膚を瞬間的に凍らせます。数秒で解凍される際に、疣贅に変化した皮膚の細胞が壊死し、その壊死したところが1〜2週間ぐらいで、かさぶたになってとれてきます。

とれたところの皮膚は再生しますが、場合によっては(皮膚の状態、年齢、部位、体質、紫外線など)処置後にシミになったり、瘢痕や跡が残ったりすることがあります。

液体窒素療法を行う際、周囲の一見正常に見える部位も含めて治療を行います。ウィルスに感染している可能性があり、その感染していることが肉眼では確認できないためです。

液体窒素療法を行うと、その施行した日は痛みが生じます。痛みに弱い方は痛み止めを使用することがあります。また翌日ぐらいから水ぶくれや血まめになったりすることがあります。これらが吸収されるとかさぶたになってきますので、無理に穴をあけたりしないで、絆創膏で保護するようにしてください。また、ご心配な方は受診してください。

一度の処置では治ることが少ないので、複数回施行することが多いです。


(2) 電気メスによる焼却療法

この治療法は、電気メスで病変部を焼却する方法です。この方法は、患部を冷やして感覚を鈍くする場合や局所麻酔薬を患部に注射して、痛みを軽減させて行います。そのため施行するにあたっては、液体窒素療法よりも時間がかかります。また、局所麻酔薬を用いる場合、局所麻酔薬の成分にアレルギーを有する方はできませんので、患部を冷却して行います。

この方法もとれたところの皮膚は再生しますが、場合によっては(皮膚の状態、年齢、部位、体質、紫外線など)処置後にシミになったり、瘢痕や跡が残ったりすることがあります。

焼却したあとは、かさぶたになりますが、皮膚が再生されるとかさぶたがとれてきます。麻酔が効いているのは2から3時間ほどなので、それ以降は痛みを生じることがあります。ただ、これまで施行例を見ている限りでは、液体窒素療法を施行した場合の方が、電気メスによる治療よりも痛みは強い場合が多く、痛み止めの内服薬を希望される方は非常に少ないです。患部は絆創膏で保護してください。一度の処置では治ることが少ないので、複数回施行することが多いです。

いずれの方法も跡は残ると考えていただいたほうがよいです。


その上で、跡が全く無くなってしまえば、なお喜ばしいことでしょう。

イボが複数や大きい場合、また治療が難しい部位、免疫抑制剤(臓器移植後の方や他疾患の治療のため)を内服中の方、身体の免疫が低下している方、手や足の裏のように皮膚が厚いところなどの場合、治るまでにかなりの時間(場合によっては、月単位、年単位)を要し、根気よく通院していただく必要があります。これらの場合、かなり難治性です。場合によっては、内服薬(ヨクイニン)を服用することがあります。

不明な点については遠慮なく、診察時に医師またはスタッフまでお聞きください。





(1) 皮膚腫瘍摘出術

皮膚腫瘍は良性から悪性のものまであります。それぞれ大きさや形、発生した部位など個々によって手術方法は異なりますが、当クリニックで行っている治療について概略を述べます。

当クリニックで行っている治療は、すべて局所麻酔で行っています。できものの周囲に麻酔薬を注射器で皮膚の中に入れ、麻酔をかけます。その際に、針が皮膚を通る時と麻酔薬が皮膚の中に広がる際に痛みが生じます。

次に、できものを中心として紡錘型に皮膚切開し、周りの組織に注意しながらできものを剥離して摘出します。(紡錘型に皮膚を切開するのは、縫合した後の傷を少しでもきれいにするためです。) その後、止血を確認して、縫合しますが、傷の状態によっては生理食塩水で洗浄してから縫合します。最後にガーゼで傷を保護して終了します。

手術時間は、できものの大きさ、個数、部位、できものの状態などにより異なりますので一概には言えませんが、早いと20分ぐらいで長くとも2時間以内に終了します。

傷によりますが、縫合した糸は1〜3週間ぐらいで抜糸することが多いです。

多くの場合、細胞の検査結果は10日から2週間ぐらいでお伝えすることができます。ただ、細胞の種類によってはさらに詳しい検査が必要なことがあるため、さらに日数を要することがあります。検査の結果、万が一悪性であった場合、細胞の種類によっては更なる検査と治療を要する場合がありますので、その際には治療ができる病院をご紹介いたします。



(黒い丸ができもの、周囲の紡錘型は切除範囲、切除範囲の皮膚ごと摘出、紙面上では上下を縫合)


(2) 皮膚移植術

皮膚移植を行う場合は、発生した部位やできものの種類によって必要となることがあります。例えば、皮膚に余裕がないところで傷を縫い合わせることができない場合、できものが悪性で大きく切除する必要がある場合などあり、必要な場合には、事前に説明します。移植する皮膚は、自らのものですが、一度身体から切り離すので、一時的に血液の循環が無くなります。そのため、自分の皮膚であっても100%生着することは珍しいです。もし万が一、移植した皮膚がすべて壊死しても、移植した範囲が小さいものであれば外用薬で皮膚は再生してきます。

最後に、いずれの手術も跡(瘢痕やケロイド)が残ります。
その程度はご本人の主観的判断になるため、我々が目立たないと考えていても、ご本人が目立つと思えば目立つのかもしれません。


手術に当たっては、事前に血液検査と麻酔薬のアレルギーの有無を調べてから行っています。麻酔薬のアレルギーがある場合、当クリニックでは対応が難しいので、大きな病院を紹介いたします。





(1) 採血

血液検査を行う場合、血管に針を刺すため、採血後にその穴から多少血液が血管外に漏れる場合があります。ほとんどの場合、漏れても皮下出血は一円玉ほどの大きさに収まります。ただ、採血した後に、採血部位を抑えなかったり、叩いたりした場合、思った以上に広がることがあり、数日経てから大きな皮下出血ができ驚くことにもなりますので、採血後はしばらく(5-10分ほど)抑えていてください。もし、皮下出血を生じても、ほとんどの場合2週間ほどで吸収されます。

(2) 注射

注射についても針を抜き刺しするので、採血と同じような注意が必要です。注射の場合、薬を入れるため、血液だけでなく薬が血管から漏れることがあります。当クリニックで使用している注射薬は血管の外へ漏れても重大な障害を引き起こすことは稀ですが、注射を行っている最中に、注射部位に痛みを生じ、次第にその痛みが強くなって行く様ならば、漏れている可能性が高いので、すぐに看護師に伝えてください。

(3) 点滴

点滴についても針を抜き刺しするので、採血と同じような注意が必要です。点滴の場合も薬を入れるため、血液だけでなく薬が血管から漏れることがあります。当クリニックで使用している注射薬は血管の外へ漏れても重大な障害を引き起こすことは稀ですが、点滴を行っている最中に、注射部位に痛みを生じ次第に痛みが強くなって行く様ならば、漏れている可能性が高いので、すぐに看護師に伝えてください。注射と違い、身体に入る速度が遅い分、痛みの程度が注射薬の漏れに比較して弱い場合があります。

採血、注射、点滴のいずれを施行する際には、看護師が「痛みはないですか?」、「しびれませんか?」、「気分悪くないですか?」などお聞きしますので、上記のような皮下出血やお薬の血管外漏出、気分不快や転倒など防ぐ意味でも、お答えいただきますようお願い申し上げます。

また、血液疾患がある方や血液を固まりにくくする薬(抗凝固剤)を服用されている場合などには、皮下出血を生じやすく、広がりやすいですので事前に申し出ていただきますようお願い申し上げます。

採血、注射、点滴を行う前に、当クリニックではアルコール綿で消毒をします。アルコールに弱い方は、消毒部位が赤くなることがあります。このような経験がある方やアルコールに弱い方は事前に申し出てください。

血管付近に神経が走行しており血管穿刺時に針が触れたりすることがあります。

採血時にしびれや異常な痛みを感じた際には神経を刺激している可能性があるので、看護師に申し出てください。





治療の一つとして、硬くなったところを削る方法があり、当クリニックでは、野菜のピール(薄く削る)する際に用いるピーラーを使っています。これは、従来のカミソリで削る方法よりも安全で確実に削ることができるからです。ただ、刃物であることには変わりありませんので、慎重に扱う必要はあります。 

タコや魚の目を削っていくと、少々出血することがあります。これは、タコや魚の目に向かって立ち上がっている血管を切るからで、出血もしばらく圧迫していると止ります。もし帰宅されてからも少し出血する際には、ばんそう膏をして10分ほど圧迫してください。出血する程度のレベルまで削ると、ほぼ硬いところは取れていますが、状態によって削る厚さが異なりますので、全ての方が出血するわけではありません。また出血しないからといって治らないわけではありません。

タコや魚の目は歩き方や靴、体重のかけ方など、日常生活に原因があることが多いですので、削っても再発することが多い病気です。





にきびの治療を行う際に、にきびの膿みや内容物を排出させるために面圧処置という治療を行うことがあります。

対象となる病気は尋常性ざそう(にきび)、面ぽう(白色又は黒色)が主なものです。方法は、できものの中心に針で穴を開け、面ぽう圧出子であけた穴を中心に圧抵し、中身を押し出す方法です。処置後はお薬を塗布して終了です。

ニキビに対して行う場合、いわゆるニキビをつぶすというものではなく、中身(膿みや皮脂、汚れなど)を出す治療法と理解していただくとよいかと思います。これを行ったからといって、跡が目立つようになることはなく、かえって早く軽快します。また、この治療法は、炎症(赤み及び腫れなど)が強い方に行うことが多く、治療法の有無に関わらず跡は残る場合が多いです。

面ぽうに行う場合は、跡が残る場合は少ないです。一時的に圧抵することによって赤くはなりますが、時間が経つと消えていきます。

この治療法を施行する場合、痛みが生じますが、麻酔を必要とするものではありません。