パッチテスト |
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- 目 的:
- 接触アレルギーの原因物質を確定すること(正しく施行され、正しく解釈されたパッチテストは、アレルギー性接触皮膚炎の唯一の科学的証明法である)。
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パッチテストの原理 |
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接触アレルゲン(厳密にはハプテン)と推定される物質を正しい濃度で正常の皮膚に標準化された方法で貼付し、限局した1大の部位に強制的に接触皮膚炎を起こさせて、臨床症状の原因物質を確定する。
閉鎖貼付試験が標準的な方法であるが、光過敏を疑った場合には光貼付試験を、化学物質の皮膚刺激性が強いと推定される場合にはオープンテストを行う。 |
閉鎖貼付試験 |
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- 貼付時間:
- 48時間
- 貼付部位:
- 背部(傍脊椎部)が一般的である。正常皮膚に貼付する。
パッチテストユニット(表1):Finn Chamber (大正製薬が販売)、パッチテスト用絆創膏(鳥居薬品)
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Finn Chamberは反応の信頼性が高いが、アルミと水銀が反応するので、水銀製剤の試験には適さない。パッチテスト用絆創膏は安価で水銀製剤の試験にも用いることができるが、絆創膏の刺激がでやすいという欠点がある。
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- 判 定:
- パッチテストユニット除去後1時間以上経過し、絆創膏による圧迫刺激の影響がなくなってから第1回判定を行う。第2回目以降は72時間後ないし96時間後に行う。ステロイド外用剤は主剤の抗炎症作用により反応が抑制されるので1週間後にも判定する必要がある。
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判定基準:
- ICDRG(国際)基準と本邦基準がある(表2)。アレルギーの判定にはICDRG基準が適しているが、予知パッチテストの時に刺激反応を見逃さないためには本邦基準が適している。
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試験物質の濃度 |
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- 化粧品:
- 揮発性の製品は(そのままでオープンテストあるいは、Chamberに塗布後十分揮発させて貼付する。染毛剤、パーマ液はas isでオープンテスト、洗浄剤は1%水溶液を作成して、その他の製品はas isで貼付する。
- 外用剤:
- ゲル製剤はas isでオープンテスト、その他の外用剤、点眼液はas isで貼付する。
- 植 物:
- 葉、花びら、茎をすり潰し貼付する。プリムラオブコニカは強い感作性があるのですり潰した後、水で10倍に希釈して貼付する。
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食 品:
- as isで貼付する。農薬:水ないしワセリンに使用濃度、使用濃度の10倍希釈濃度で混ぜて貼付する。衣類:布を細かく切りChamberにつめて貼付する。金属:ヤスリで削りワセリンに混ぜて貼付する。
- アレルゲン:
- ワセリンないし水で至適濃度1)に希釈したものを作成して貼付する。
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パッチテスト反応の解釈 |
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パッチテストで陽性反応が確認されても直ちに原因物質とは断定出来ない。接触経験を確認し現在の皮膚炎の原因か、増悪因子かを判定する。今回接触経験がなければ、
以前の皮膚炎の原因ないし増悪因子、あるいは交差反応で現在、以前の皮膚炎のいずれとも関係ない事がが考えられる。パッチテストで陰性であっても直ちにアレルギー
の原因でないと断定出来ない。正しく、適切にパッチテストされたか否かを確認する
必要がある。 |
パッチテストの問題点 |
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偽陰性:
- 皮膚炎発症に要した発汗、摩擦、圧迫などが十分再現されなかった、
- テスト物質の濃度が低すぎた、
- 判定時間が早すぎた(ステロイド、ネオマイシンなど)、
- 基剤が不適当、
- 接触時間が不十分、
- 光のエネルギーを必要とした。
偽陽性:
- 発汗でむれた、
- 濃度が濃すぎた、
- 圧迫しすぎた、
- 過去の皮膚炎の原因であった。
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文 献
- Sugiura M, et al:Patch test results using IQ Chamber, Environ Dermatol 4:104-106,1997
- Sugiura M, et al:Patch test results using TRUE Test in Japan, Environ Dermatol 4:184-188,1997
- Fisher's Contact Dermatitis(4th Ed), Williams & Wilkins, 1995, 973-1055,
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